え付け前の施肥では、前年の生育状況をもとに肥料と合わせる「微量要素」や「微生物肥料」の割合を圃場ごとに調節しています。特に、「微生物肥料」を使用するようになってからは品質が安定してきました。植木さんが農業を始めたのは、農業高校を卒業した18歳の時。子どもの頃からトラクターに乗るのが好きで、よく仕事の手伝いもしていた植木さんにとって、家業の農業を始めることは自然なことでした。ただ、当初は「言われたことをやるだけで、自分の意志はなかった。今思えば甘えていたんだと思います」と当時を振り返ります。しかし、30代の頃に父の病気と結婚をきっかけに大きな転機を迎えます。農業経営の中心的な役割を担うようになり、子どもが生まれたことで「この子たちを食べさせていかないと」という思いを強くしました。それを機に、仕事への向き合い方も大きく変わり、これまで以上に真剣に農業へ取り組むようになりました。農業を続ける中で、課題と感じて 9化・省力化に取り組んでいます。「あいるのが「人手不足」と「規模の維持」です。そのため、クローラーフォークリフトを導入するなど機械ると楽ですよ、積み込み作業が全然違います」と話す植木さん。クローラーフォークリフトの導入をはじめとした効率化の取り組みにより、1日約400コンテナ、多い時には約900コンテナもの収穫をこなしています。こうした作業量を支えているのは、日々の工夫と努力の積み重ねです。さらに、昨年はドローン免許も取得し、防除や生育状況の確認に活用を見込んでいます。現在は基盤整備により区画整理された圃場が並ぶ路木地区ですが、それ以前から地域の人たち自らの手で圃場の整備を行ってきた歴史があります。植木さんの父もその一人で、重機などを使いながら石垣を積んで圃場を1つにまとめる作業を毎年行っていたそうです。「うちの父が基盤をしっかり作ってくれていたから、スムーズに引き継ぐことができた」と感謝の言葉を口にします。 「気持ちとしては、息子たちと一緒に農業ができればうれしい。ただ、これから先どうなるか分からない中で、せめて父がしてくれたように自分も次の世代に基盤を残していきたい」。父と息子、それぞれに思いを重ねながら、代々受け継がれてきた農業を次の世代へと確かに引き継ごうと、今日も畑に立ち続けています。▲収穫されたバレイショ▲トラックへコンテナを積み込む クローラーフォークリフト▲収穫作業の様子
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