こぶれ 2025年9月号
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8月上旬から始まった新ショウガの収穫は、9月いっぱいまで続きます。今年は梅雨が短く、日照時間が長かったことで玉太りも良く、昨年以上の出来栄えだそうです。1つの種ショウガから扇形に枝分かれした姿は、まるで茹でた大きなカニのよう。実の部分は地中にあり、地上に伸びた茎と葉は人の背丈ほどにまで生長します。新ショウガはあまり日持ちしないため、収穫後はすぐに営農センターに運ばれ、洗浄・選果を経て出荷されます。栽培で最も気を付けているのが病気対策です。ショウガは非常にデリケートな作物で、一度病気が入ると一気に広がってしまうため、栽培管理には細心の注意が求められます。病気を持ち込まないよう、ハウス内に入る回数は最小限にとどめ、草取りや消毒のために入る際も、服を着替え、靴や道具もすべて洗うという徹底ぶりです。それでも鳥などの動物が侵入して感染することもあり、完全に防ぐのは難しいといいます。栽培の難しさを感じながらも、    9ショウガの栽培を続ける酒井さん。そこには、産地としての危機感もあります。コロナ禍をきっかけに、生産者数は全国的に減少傾向にあります。島原地区でも同様ですが、長崎県はショウガ栽培発祥の地とも言われています。現在は高知県が全国シェア1位となっていますが、「最初に栽培が始まったのは長崎とも言われています。だからこそ、長崎ショウガとしての価値はある」と酒井さんは語ります。ショウガの良さをもっと多くの人に知ってもらい、生産者がまた戻ってきてくれることを願っています。今後の目標を尋ねると、「一番はもっといい品を作ること、そしてそれを継続していくこと。島原が産地としてもっと元気になるよう、自分が前に立って引っ張っていけるように頑張っていきたい」と意気込みを見せていました。土や水、気候に恵まれた島原という土地を生かし、酒井さんは産地の未来を支えようと日々努力を続けています。▲種ショウガは貯蔵するので 茶色っぽい色をしています▲新ショウガを洗浄する様子 ▲洗い終わるときれいな白とピンク色

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